京都大学 工学研究科 情報工学専攻
計算機工学講座 計算機構成分野 (富田研究室)

並列応用を指向した分散システム Computer Colony

ハードウェアグループ

Computer Colony ハードウェアグループでは、現在 SPARCstation20 4台をノードとし、ノード間ネットワークとして Fibre Channelを利用した Computer Colony プロトタイプ・ ハードウェアを開発中である。

プロトタイプ・ハードウェアの核として開発中の通信ボードは、 ローカルメモリの一部をリモートメモリのキャッシュとして 用いるためのディレクトリをもち、それらのコヒーレンス制御 をハードウェアで行なう機構も提供し、各ノード間で共有メモリを実現する。

また汎用ネットワークを用いる分散環境においての ハードウェア分散共有メモリを支援するため、 通信品質、優先順位、追い越し等の問題の解決に 必要な通信機構を開発し、通信ハードウェア上への 実装を行なう。

本年度は、通信ボードのボードレベルの詳細設計を終了し、 ボード上のFPGA(Field Programmable Gate Array)内部の 設計を開始した。またハードウェア分散共有メモリを支援する通信機構の 仕様を決定した。

ソフトウェアグループ

分散システム Comupter Colony 上で稼働するオペレーティングシステム Colonia の開発を進めた. 我々が Computer Colony で実現する目標の一つにフェアシェアがある. フェアシェアとは,各ユーザは課金状況などに応じた計算資源を, ユーザ間での不公平が発生しないように,公正に分配することである. しかし,我々は,公正な資源の割り振りを行うためには,従来の プライオリティを基にしたスケジューラでは困難であると考える. そこで,プライオリティ・スケジューラにストライド・スケジューリング の考えを組み入れたスケジューラを考案した. このスケジューラは,プライオリティ・スケジューラが持つ応答性の高さと, フェアシェアを同時に実現する. このスケジューラをエミュレータ上に実装し,評価したところ,良好な結果 を得ることができた.

現在は,さらにノード間でのプロセススケジューリングを行う, グローバル・スケジューラの設計を行っている.

また,ノード間の分散共有メモリ(DSM)を実現するための管理情報を, DSM上に配置して管理する大域的ネーム・サービスの提案を行った. こちらは,現在エミュレータ上に実装中である.

さらに,開発コストを軽減するために,Sparc Linuxの豊富なデバイス・ ドライバを利用できるようにすることも検討中である.


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